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漂着した大型クジラの死骸 実はナガスクジラ? 自然の力で骨格標本へ 鳥取県湯梨浜町

鳥取県湯梨浜町の海岸に流れ着いた大型クジラ(全長約13.5メートル)の死骸の本格的な調査が5月7日、始まりました。当初はイワシクジラか、ニタリクジラとみられていましたが、専門家によると同じ種類のナガスクジラの可能性が高いということです。鳥取県沿岸に大型のクジラが漂着するのは珍しく、今後、骨格標本として保存する計画です。 4月24日に鳥取県湯梨浜町の海岸で見つかった大型クジラの死骸。沖合で死んだ後、海岸に漂着したとみられています。発見から2週間がたち、最初の発見地点から港の中へと流されていたクジラは、表皮が剥がれ落ち、白っぽい皮下脂肪が露わになっていました。周辺には時折、強烈な腐敗臭が立ちこめます。 5月7日、鳥取県の職員や県立博物館、東京の「日本鯨類研究所」の専門家が集まり、このクジラの本格的な調査が始まりました。調査では、大きさを測ったり、サンプルを採取したり、死骸について詳しく調べていました。 日本鯨類研究所 茂越敏弘 研究員 「観察、計測が終わってサンプルの採集をしているところでした。クジラの種類なんですけどナガスクジラかヒゲクジラの仲間であることは間違いありませんでした」 調査の結果、このクジラはオスのナガスクジラの可能性が高いことが分かりました。大型のクジラは、毎年30匹ほど日本の海岸に流れ着くということですが、鳥取県で見つかるのは珍しいといいます。この貴重な漂着物を活用しようと、鳥取県立博物館ではクジラの骨格標本を作る計画を進めています。 死骸をヒレなど部分ごとに解体した後、湯梨浜町内の公有地に一時的に埋めることで、3年ほどかけて骨以外の部分を自然に取り除き、標本として加工します。残念なことに頭部の骨格は失われていましたが、近くの海に沈んで残っている可能性もあるということです。 鳥取県立博物館 一澤圭 主幹学芸員 「何らかの機会には展示などを通じて(骨格標本を)いろんな人に見ていただいてこういう海の自然について興味、関心を持ってもらいたいと思います」 県立博物館には現在、クジラの全身の骨格標本が4体あるということですが、大型クジラの骨格はなく、完成すれば体の骨格標本としては最大のものになるということです。

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